式根島で一番よく目にする鳥はハシブトガラスかもしれません。

人を恐れず、特に外でお弁当を食べているときにはすぐ近くまでやってきて、ポーズを決めたりします。

真っ黒かと思いきや緑や紫の艶を帯びた美しい羽、明るい澄んだ声、高い知能、どこをとっても魅力的な生き物ですが、その知能の高さゆえに人間と軋轢を起こすことも。

こんな近くにハシブトガラス!

「カラスには嫌がらせされたことがあるよ」とは、ひだぶんの女将、光代さんの談。

「海苔摘みに磯に出て、お弁当を食べていたとき、カラスが寄ってきたのよ。お腹空かせてるみたいだし可哀想だなと思って、食べ物の切れっ端をあげたら、ずっとそばにいるんだわ。『もう何もないよ』って言ってお弁当箱を袋にしまって、海苔摘みを再開したら、食べ物をもらえないことにカラスは面白くなかったみたいなのよね」

いや、すでにもらえているでしょうが。足るを知らないカラスだな。

海苔を採りながら、「あっちの岩にいい海苔がいっぱい生えてるな」と、少し先の岩を目指して歩き出した女将。するとくだんのカラスは女将が目指している岩まで飛んで行って、

「そこで糞をしたのよ!」

そしていずこへともなく飛び去ったのだとか。

女将「あれは嫌がらせよ! 腹立ったわ〜!」

ごもっともです。ごもっともなんですが、その光景、見たかったなー。

前衛芸術ではありません。島海苔乾燥中