伊豆諸島に浮かぶ式根島には、どんなきのこが生えるのでしょうか。天然のきのこを食べる文化もなく、全く注目されない式根島のきのこですが、10月中旬のある日、島の遊歩道で探してみました。

基本的に式根島は「暖地」ですので、温かいところに生えるきのこが多くなります。きのこが多く見つかる場所の樹種は主に「松」「シイ」ですが、式根島の表土は火山放出物未熟土といって、有機物の蓄積が少なく、砂地が多いので限定的です。

ハラタケ科キヌカラカサタケ属

息を吹きかければ倒れてしまう、繊細な美しいきのこ「キツネノハナガサ」です。式根島には狐はおりません。

イグチ科

ただでさえ、同定が難しい(または名前がない)イグチ科が多くみられました。良い状態のものが少ないのと、わかりやすい特徴をもつものが少ないように感じました。

テングタケ科

大型型のテングタケ科のきのこが見られます。有毒種が多くありました。

ベニタケ科

普遍的なベニタケ科もよく見られます。

ノウタケ科やホコリタケ科

たたけばホコリ(胞子)が出る仲間です。

チャツムタケ属

以下の写真はすべて同一個体。図鑑未掲載種のムラサキチャツムタケの近縁と思われるが詳細は不明。存在感があって美しいきのこです。

参考:日本菌学会会報

日本から新たに発見された3種のチャツムタケ属菌

最後に

式根島のきのこについては、季節を変えて、また探索していきたいと思います。

きのこについては、未報告種が多すぎて、研究が全く追いついていません。多様性の実態そのものが未解析ですので、よくわからないきのこを自己判断で採って食べては絶対にいけません。特に、式根島は医療アクセスが弱い離島ですので、きのこに限らず未知の食体験に挑むリスクは大きくなることを認知しておきましょう。