とってもおいしい式根島の椎茸
式根島の隠れた美味に「椎茸」があります。特産品というわけではないのですが、椎茸は式根島の環境と相性がよく、美味しいもの好きの一部の島民が自宅の庭や空き地で育て、春と秋の楽しみになっています。今回はそんな式根島の椎茸のお話です。

栽培きのこの元祖・椎茸
まずは椎茸の歴史からおさらいします。

椎茸(シイタケ)は、日本や中国など東南アジアが原産のきのこで、主にクヌギ、コナラ、ミズナラ、シイ、カシなどドングリがなるような広葉樹に生えます。400年くらい前の江戸時代に、日本で最初に人工栽培が行われました。人工栽培といっても、椎茸が生えている原木の周囲の樹に鉈で傷をつけて、胞子が活着するのを期待するという、半自然的なものでした。
椎茸の学名は Lentinula edodes (レンチヌラ・エドデス) 。このedodesは、「江戸」に由来すると説がありますが、興味がある方は分類学にありがちな紆余曲折の物語を下記の参考記事より、ご覧ください。
椎茸は英語で、日本語の音をそのまま採用した「Shiitake mushroom」「Shiitake」と呼ばれており、このことからも、椎茸が日本由来のキノコとして世界に広まったことがわかります。
式根島のシイノキ
温暖な海洋気候の式根島の原生林を構成しているのは、シイノキ(スダジイ)やタブノキなどの常緑広葉樹(照葉樹)です。


島内でも幹回りの立派な年代物のスダジイがあちこちでそびえ、秋に振るように落とす椎の実は、島民の大好物です。薪材としても優れ、シイノキは式根島に限らず、伊豆諸島の島民の暮らしに欠かせない宝物でした。ちなみに、よく見かける黒松やハンノキ(オオバヤシャブシ)は薪用に植樹されたものです。
式根島の環境にあうから美味しい椎茸
そんな式根島では、以下の理由から育ちがよく、 肉厚でとてもおいしい椎茸が育ちます。
- シイノキ(スダジイ)が多い
- 潮風が吹いて風通しが良い、胞子をよく運ぶ
- 年間降水量が本土より約1.4倍ほど多い
基本は完全天然物ではなく、島の椎の木からほだ木を作り、菌種をコマ打ちをして育てたものを食べています。

残念ながら、島内で販売はしていませんが、式根の環境が本来の椎茸になじんでいるから味はお墨付き。

人間の顔ほどの大きさに育つことも珍しくありません!たっぷりバターでステーキにして醤油をたらせば、もう大ごちそう。


「シイから生える椎茸が本物の椎茸!」と島民が誇る気持ちもよくわかる、立派な式根島の椎茸のお話でした。
