あなどれない!珍味カメノテ

「カメノテ(亀の手)」という生き物をご存じでしょうか?磯遊びをしているときに、ケガをしそうで、ちょっとヒヤリとするアイツです。

亀の手(カメノテ)の名前は、見た目が「亀」の手に似ていることに由来し、硬い殻に覆われた柄部の内部にある身を食用とします。貝のように見えますが、エビやカニと同じ甲殻類で、味わいも似て、とても旨味があって美味しい珍味です。

式根島では磯で獲れる貝やカメノテを「磯物(イソモン)」と呼んで重宝する食文化があります。カメノテを入れた味噌汁「シイッコ汁」は大御馳走です。そんなカメノテを式根島の漁師さんに誘われて、採取してきましたので、その様子をレポートします。

カメノテが住む場所

カメノテは潮の満ち引きによって、満潮では海中に沈み、干潮では磯となる潮間帯に生息します。潮通しが良い場所でよく育ちます。式根島では、あちこちで見られますが、良いものをたくさん、となると荒磯が最適地です。今回は、漁師さんと一緒なので、贅沢に船で採集場に行きました。

目当ての磯の置き去りにされる
温かく見守ってくれています

カメノテの採り方

まず手を切らないように軍手をはめて、専用の道具でかたまりごと剥がしていきます。慣れればコツがつかめます。道具はマイナスドライバーで代用できます。

たまに、後ろから波をかぶりながら、必死に頑張りましたらば、カメノテをたくさん採ることができました。

カメノテの食べ方(塩ゆで)

収穫したカメノテはかたまりになっているのを、よく洗いながらバラバラに小分けします。砂やゴミ、小さな貝、たまにゴカイのような謎の生物が挟まっていたりしますので、あまり注目せず、ひたすらきれいに水を取り替えながらこすり洗いします。剥がれない汚れは、金だわしなど固いものでこすれば大丈夫です。


よく洗ったカメノテは、そのまま全体が沈むくらいのたっぷりのお湯に塩(2%くらい)と好みで酒を少し入れて、中~弱火で15分くらい茹でるとおいしく食べられます。
途中でアクがたくさん出てきますので、お玉ですくって捨ててください。

先端をつまんで、ひねるようにすれば、身の部分がスポッと抜けます。かぶりつきましょう!

このカメノテを味噌汁にすれば、式根島の「しいっこ汁」です。こちらも絶品ですので、ぜひお試しください。

式根島では、カメノテの漁業権は設定されていませんので、現地で自炊ができる方は体験してみてはいかがでしょう。
採取時は安全に十分注意し、波が穏やかな日の干潮前後を狙いましょう。大潮であれば、探せる範囲が広くなります。カメノテは成長がとても遅いので、くれぐれも乱獲してはなりませぬ。

持ち帰る場合は、傷みやすいので下茹でしてから保冷をするなど工夫が必要だと思います。甲殻アレルギーの方は召し上がらないようにしてください。

参考動画

海外ではワインのおとも

カメノテは主にスペインやポルトガルで愛好される高級食材(Perceves ペルセーべシュ) として知られています。白ワイン蒸しにしたり、ガーリック炒めにしたり、塩茹でしたものをレモンとオリーブオイルで食べたり、貝感覚でいただきます。日本よりさっとゆでる傾向があるみたいですが、パスタやアヒージョ、エスカルゴ風にしても美味しそう。白ワインのおともにぴったりですね!