
有休とって、早くも7回目の式根島釣行です。今回は、気ままな2泊の一人旅。あれこれ欲張らずマイペースに過ごすことにしました。宿に着くと、庭の隅にあるハンモックに、白髪交じりのアゴヒゲを伸ばし、ヘソ周りに骸骨のタトゥーをした半裸の外国人が、行者のように逆さ吊りになっていました。ここでは色々なことが起こりますので、特に驚かず、(蚊に刺されないのかなあ)(ブッダ懐かしいなあ)と思いながら会釈をして、チェックインしました。
式根の夏の釣り
式根島の釣りも二度目の夏となりました。今回は夜釣りをせず、釣った魚で一杯やる方が目当てです。夜は宿でのんびりしますが、カゴ釣りと足元釣りを併用する強欲フォーメーションなので、忙しくなります。特に、カゴに30㎝~50㎝のイスズミ、足元に落とした竿に、ボヨンボヨンと重量級のイシガキフグが、それぞれ10枚以上かかり、あっちもこっちも労多く益少なし。強い陽射しの下で、試練の釣りです。
それでも、去年のお盆に初めて釣ったショゴ(カンパチの子)が、パラパラ上がってくるあたりが、夏だなあという感じがいたします。エサ取り軍団や25㎝以下のアカハタを何枚かリリースしつつ、3日間、一人が食べるにはちょうどよい量が淡々と釣れました。

[持ち帰り釣果]
1日目:メガネハギ、ショゴ(25cmくらい)
2日目:ブダイ(32cm)、ムロアジ
3日目:ブダイ(32cm)、ベラ(25cm)
釣って、さばいて、飲む!スタイル完成
毎日、日没をめどに納竿し、ひだぶんの外流しで釣った魚の下処理をして、ミニキッチンに持っていき、持参したハーブやフルーツを添えてカルパッチョを作り、島の商店買った白ワインと一緒に楽しむ、という私的に正しい島釣りスタイルが完成したのは、この時の釣行だったように思います。



大変そうに見えるかもしれませんが、初日に釣った魚を切って盛るだけの「柵」にしておけば、翌日以降は切るだけです。なんてことはありません。
今回1日目の釣果が悪く、一応「食」である怪しげなハギの仲間「メガネハギ」を持ち帰りました。やたら皮が厚くて、さばきづらいものの、食べてみれば普通に美味しい白身で「あり」でした。こういう未利用魚の食体験も貴重です。
バエパッチョ
さて、このコラムのタイトルにもなっている「バエパッチョ」とは、私が自分で釣った魚で作るカルパッチョのことです。
釣った魚以外の材料は以下のものを、帰りは魚が入る予定のソフトクーラーBOXに入れて適当に持参して組み合わせてます。
・ハーブ(イタリアンパセリ、アンディーブ、ディル、ミント、バジルなど)
・かんきつ類(レモンやライム、すだちや柚子、グレープフルーツ、オレンジなど)
・薬味(紫蘇、ねぎ、しょうが、にんにくなど)
・その他の野菜(トマト、パプリカ、玉ねぎ、カット済みサラダパックなど)
・オリーブオイルスプレー
・おいしい塩
・スパイス・アクセント(ピンクペッパーやケイパー、オリーブなど)
見ての通り、軽いものばかりだし、柑橘はそのままザックに入れられます。保冷袋に凍らせた500mlのペットボトル1本いれておく程度でも、船中一泊のさるびあ丸で持ってこれます。
※ただし、ハーブや紫蘇など薄い葉物は、直接氷にふれると、冷凍障害で傷むので注意。
カルパッチョの色彩は「白、黄色、緑の爽やか系」「紫やオレンジのハロウィンカラー」「赤・黄色・緑と、とにかくカラフルに」など、その時によって変わりますが、実際は切って並べるだけの簡単さ。それでいて、とにかくバエるので、気持ちも楽しくなりますし、何より、釣りたての新鮮な魚が美味しく、私にとって最高の御馳走です。私はこの美しいカルパッチョをいつの間にか、冗談めかして「バエパッチョ」と呼ぶようになりました。
驚きの吸引力
ミニキッチンの譲り合いを通して、自然と言葉を交わすようになったのが、冒頭に登場した逆さま外国人のKさんです。日本生活が長く、ある程度なら読むこともできるほど、日本語に長けています。Kさんはパスタ、私はカルパッチョを作って、分け合いながら、話をしました。
「下田から他の島に行ったけど、ピンと来なくて、1週間前に式根島に来た。式根島はとてもすばらしくて気に入った!それからずっといる。そして、しばらくいる!
何より温泉がすごい。大浦の夕焼けは最高。中の浦では、魚が私の周りをぐるぐる回る。こんなことってある?私はないと思う!式根島は本当にすごい。」と、式根島への愛は尽きません。
そのぐるぐる回ってるの、私の釣り師の天敵(イスズミ)なんだよな~と思いつつ、お互い共通の趣味である温泉や、Kさんが世界中を旅した話で、毎晩楽しく交流することができました。
Kさんはすっかり、ひだぶんスタッフとも馴染んでおり、女将さんは「スタッフのヤマちゃんだけなく、もう一人半裸が増えちゃいましたー!島で”半裸といえばひだぶん”になってしまいます!」と嘆きます。半裸を惹きつけるなにかが、ひだぶんにあるのでしょう。よもやよもや、彼らは女将さんに見てもら(略)
以上。
思い出ギャラリー


今回釣った魚
イスズミ、シラコダイ、イシガキフグ、メガネハギ、ショゴ ブダイ ベラ ムロアジ
↑黄色は食べやすく美味しい魚(当社比)
今回のお料理(2泊分)




・メガネハギのカルパッチョ
・ブダイのカルパッチョ
・ムロアジのタタキ
・ムロアジのまご茶漬け(朝食)
調理のポイント
[持参したもの]
・パックの薬味セット ・生姜 ・スプレータイプのオリーブオイル ・成城石井のキャロットラペ(お惣菜) ・ミニトマト ・岩塩 ・レモン ・紫玉ねぎ ・アンディーブ ・紫かいわれ ・ネギ ・イタリアンパセリ ・グレープフルーツなど
※野菜は必要な分量をカットしてジップロックで持参
[現地調達]
調味料、パックごはん
[工夫とポイント]
・野菜をカットしたり、茹でて、ジップ付き袋で持参すると時短になる
・初日のなめろうは、冷蔵庫で一部を保存し、翌朝のまご茶漬けに
・キャロットラペなどのマリネの市販総菜で日持ちするものは、料理に応用できる
・釣った魚は柵にして塩水にくぐらせ、しっかり水分をとってから、キッチンペーパー&ラップで保管すれば、翌日から切るだけ盛るだけでカルパッチョ料理ができる
よりぬきレシピ
書いた人

こんにちは。私は、「自分で釣った魚で料理を作って、美味しいお酒を飲むため」に式根島に通っています。この「今宵もしきねでバエパッチョ」が式根で釣りをやってみるきっかけになったり、自炊民の多少の参考になれば幸いです。