今宵もしきねでバエパッチョ自分で釣って、さばいて、飲む!

台風と寅さんと精霊船

待ちに待った夏の大型連休・お盆休みに突入し、当然のごとく式根島に来ました。画伯とガッツリ5泊して、最終日は高速ジェット船で帰る満喫プランです。今回は、中日に台風が来る予報ですが、むしろ、式根島で過ごす台風の一日を楽しみにしています。

二度目のお盆

私が初めて式根島にきたのは、昨年のお盆休みでした。リピーター歴1周年で、はや8回目の来島です。

さて、到着すると、さすがに真夏なので、すぐ着替えて中の浦海水浴場で泳ぐことにしました。昨年は「式根の海はきれいだな~」と純粋無垢にシュノーケルを楽しんでいたのですが、今年は、泳いでいても、本命のイシガキダイやフエダイを見るたび追っていき、海中で彼らの食餌風景や泳ぐ棚を腕組みして観察する始末。邪心の塊で、どうしようもありません。

それにしても、でっぷり太って群れをなすイスズミの多さに、これじゃあ、いくらでも釣れるわけだ!とため息がでます。結局、釣りをしたくなったので、2時間ほどで上がることにしました。

おお、乗ってきたさるびあ丸が折り返してきたぞ

海中で眺めた美味しそうな魚たちを思い描きながら、はりきって、野伏港で竿を出しましたが、外道オンパレード。なんとかムロアジ一匹で納竿です。

その後も台風の日以外は、釣りをしたものの、暑すぎるのかエサ取りが多くて、いまひとつ。それでも、初めてのルアー釣りに挑戦したり、いろいろ新しい体験をしながら、気ままに釣りができたので大満足です。

[持ち帰り釣果]
1日目:ムロアジ
2日目:アカハタ
3日目:オジサン、メガネハギ、アカハタ
4日目:なし(台風)
5日目:ショゴ(カンパチの子)、オジサン
6日目:アカハタ

台風の日

4日目の16日は、ものの見事に伊豆諸島台風直撃でした。賢明な観光客は、事前に脱出し、残っているのは見るからにのんきな面々です。島内の商店は、前日から早仕舞いをし、台風当日は完全休業です。

こらアカン

出典:気象庁:https://www.data.jma.go.jp/yoho/data/hibiten/2024/2408.pdf

「飲むしかないね!」という島民の様子から、たいして心配はしていないのですが、「停電になると暑くて死ぬ」と聞いていたので、それだけは勘弁です。起こるかわからないことを考えても仕方ないので、アドバイスに従って、朝っぱらから、Netflix見ながら、ソファーに寝そべってお酒を飲むことにしました。

なお、居残っている「のんきな面々」には、前回、交流した外国人のKさんもいました。もちろん半裸の骸骨付きです。

「結局、6月26日から、ずっといる!式根島は最高!まだしばらくいる!」

式根島が舞台の寅さん「柴又より愛をこめて」を、外国人のKさんに解説しながら一緒に見ると、随分気に入ったようです。50日に及ぶ滞在で見知った式根島の30年以上前の風景が、次々、登場するのでおもしろいのでしょう。

「寅さんは流れ者だから、同じ場所にとどまれないのよ」と教えると、Kさんは「私と一緒だ!」と感じ入っています。

「寅さんは、いつも『次はどこにいくの』とか『いつまでいるの?』って聞かれます。そういうとき寅さんは『風に聞いてくれ』って、返事をしますね。」

それを聞いたKさんは目を輝かせました。

「自分もそう言われる!今度から『式根の海に聞いてくれ』と答えることにする。」

午後になって、佳境のはずの台風は、それほど風も強くなく、雨も降ったりやんだりです。私は徒歩1分の石白川海岸に行ってみることにしました。白波がたち、流木が目立つものの、やはりそれほどでもないように感じました。

やがて夜になり、女将さんが「カレーを作ったので、みなさんどうぞ」と出してくれました。本来、ゲストハウスひだぶんは、夏季は食事を提供していませんが、どうやら台風のときは「女将おみつ特製台風カレー」がサービスされることが多いようです。

いろいろ入って、なにやらうまい

台風一過

翌朝、台風一過の海は、漂流物がたくさん浮いていました。釣りは、アタリが多く、嵐の後は釣れるのかな?という印象を持ちました。

画伯が海面に浮いて漂っていた大きなプラスチックの蓋を、たも網ですくい上げると、たくさんの小魚が着いており、一緒に採ってしまいました。調べてみると、漂流物に身を寄せて移動する習性を持つ幼魚の類のようです。興味がある方は、海に浮いているゴミを網ですくって観察してみると良いかもしれません。海もきれいになって一石二鳥です。

最後の夜となった17日は、(釣りエサのムール貝で)パエリアやフルーツのサラダ、バエパッチョを作り、女将さんからも島料理の差し入れをいただいて、盛り上がりました。

こりゃパーティだ

もっとも、台風のせいで新しいお客さんは来島できなかったので、この季節としては、全体的に静かな式根島です。

早朝の精霊船

最終日は午後の高速ジェット船まで、時間があります。早起きして、足付桟橋で時間まで釣りをすることにしました。

しばらくすると、島民と、東要寺のご住職がぞろぞろとやってきました。そして、果物や菓子をのせた木造の小舟を海に浮かべました。

(やや、部外者は見てはいけない儀式かな?)と、竿を上げて様子を見ていると、ご住職がこちらに来て、「これから、精霊船というものを流します。祟りがあるとか、そういう不吉なものではないので、気にしないで大丈夫です。」と教えてくれました。どうやら、大丈夫そうなので、じゃまにならない場所で、釣りを続けました。

精霊流しとは、今年が新盆にあたる故人の霊を弔うために、お盆の終わりに遺族が供物を乗せた船を仕立てて流す儀式です。なるほど、島である式根島の精霊流しは海に精霊船を流すのだ、と合点がいきました。

ふいに、島民のおじさんに話しかけられました。
「悪いけど、その、たも網を貸してくれる?船が流れないから、ちょっと押したいのよ。」

それは大変です。私は、たも網を貸して、画伯と精霊船の様子を見に行きました。

すると、確かに強い当て波で、たも網で精霊船をいくら押しても、桟橋に打ち寄せられて、一向に沖に向かいません。どうするものかと思ったら、さすが島です。一艘の漁船が近づいてきて、さっと精霊船を拾い上げるとまっすぐに沖に向かって走っていきました。

このことをご住職が、Instagramで綴っていました。

期せずして、島の文化、島民の思いに触れ、やはりここは島なのだな、と実感した出来事でした。

ヤマブキベラ
アオヤガラ
アオヤガラ
イシガキフグ(怒)
大イスズミ
エソ
シラコダイ
ショゴ(カンパチ)
オジサンやカンパチ
大イスズミ

↑黄色は食べやすく美味しい魚(当社比)

調理のポイント

レシピ

おじさんパエリア

  1. おじさん(魚)は、切り身にして塩コショウし、オリーブオイルで焼いておく
  2. 鍋に、無洗米とパエリアの素と分量の水を入れ、貝類やトマトやパプリカなどの野菜、焼いた魚、タイムなどのハーブを載せ、蓋をして、25分~30分ほど弱火で炊き、その後火を止めて10分ほど蒸らして出来上がり。レモンをしぼって頂く。

    ■ポイント
    1つの鍋で、米、たんぱく質、野菜と完結するので、とても便利。お酒のおつまみにもなります。何よりバエるので、テーブルがとても華やかに。
バエパッチョ提唱者

こんにちは。私は、「自分で釣った魚で料理を作って、美味しいお酒を飲むため」に式根島に通っています。この「今宵もしきねでバエパッチョ」が式根で釣りをやってみるきっかけになったり、自炊民の多少の参考になれば幸いです。