オオシマザクラ
萼筒は筒状釣鐘型、萼に鋸歯が目立つ
開花時に葉があまり目立たない個体だった
純白から薄紅への変化が美しい

個体差が愛しい野生のサクラ


公園などに植えられているお馴染みのサクラ、ソメイヨシノは、江戸時代にエドヒガンとオオシマザクラから作り出された園芸品種で、種子は発芽せず接木で増やします。つまり日本全国のソメイヨシノは全部同じ遺伝子をもつクローンなのです。そのため同じ地域のソメイヨシノは同じ頃に一斉に開花します。

しかしオオシマザクラやヤマザクラなどの野生のサクラは、昆虫が花粉を媒介して実を結び種子で増えるため、遺伝的に多様です。同じ地域のオオシマザクラでも、早咲きのものもあれば遅咲きのものもあり、純白の花からほんのり薄紅色の花もあるのは、遺伝的に多様で個体差があるからです。オオシマザクラは初夏に大粒の黒い実、小さなサクランボを実らせます。この実の味にも個体差があって、苦くて不味いものもあれば、ダークチェリーと遜色ないくらい甘くて美味しいものもあります。

同じ日に全部咲きそろうソメイヨシノは美しい品種ですが、ばらばらに咲くオオシマザクラもまた個性豊かで愛らしいものです。式根島でお気に入りのオオシマザクラを見つけてみませんか。

和名オオシマザクラ
学名Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba
分類バラ科 Rosaceae
大きさ樹高15 m、花の直径は4.2〜5.5 cm、葉は長さ9〜12 cm、幅6.5〜8 cmで先端が尾状に伸びる
好む場所暖地の明るく開けたところ
式根島で見られる場所海岸に近い林、森を切り拓いたところなど
分布伊豆諸島特産。房総半島や伊豆半島、三浦半島ほか全国の沿海地にも植栽され、野生状態で生えている

参考文献

勝木俊雄(2016) 「オオシマザクラ」「ソメイヨシノ」in『改訂新版 日本の野生植物 3』(平凡社)pp.64-66。

大原隆明(2009)『サクラハンドブック』(文一総合出版)

米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名-学名インデックス(YList),http://ylist.info(2025年3月25日閲覧)