
オオシマザクラ
日本に9種自生する野生のサクラの1種。枝はあまり横に伸びず、ぴんと上に突っ立つ。花が咲くのと同時に葉も出る。大ぶりの花は咲きはじめに白く、時間がたつと中心部から薄紅色を帯びることが多い。他のサクラよりも強い芳香がある。若葉の塩漬けを桜餅に使う。式根島では3月末ごろに咲く
個体差が愛しい野生のサクラ
公園などに植えられているお馴染みのサクラ、ソメイヨシノは、江戸時代にエドヒガンとオオシマザクラから作り出された園芸品種で、種子は発芽せず接木で増やします。つまり日本全国のソメイヨシノは全部同じ遺伝子をもつクローンなのです。そのため同じ地域のソメイヨシノは同じ頃に一斉に開花します。
しかしオオシマザクラやヤマザクラなどの野生のサクラは、昆虫が花粉を媒介して実を結び種子で増えるため、遺伝的に多様です。同じ地域のオオシマザクラでも、早咲きのものもあれば遅咲きのものもあり、純白の花からほんのり薄紅色の花もあるのは、遺伝的に多様で個体差があるからです。オオシマザクラは初夏に大粒の黒い実、小さなサクランボを実らせます。この実の味にも個体差があって、苦くて不味いものもあれば、ダークチェリーと遜色ないくらい甘くて美味しいものもあります。
同じ日に全部咲きそろうソメイヨシノは美しい品種ですが、ばらばらに咲くオオシマザクラもまた個性豊かで愛らしいものです。式根島でお気に入りのオオシマザクラを見つけてみませんか。
DATA
和名 | オオシマザクラ |
学名 | Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba |
分類 | バラ科 Rosaceae |
大きさ | 樹高15 m、花の直径は4.2〜5.5 cm、葉は長さ9〜12 cm、幅6.5〜8 cmで先端が尾状に伸びる |
好む場所 | 暖地の明るく開けたところ |
式根島で見られる場所 | 海岸に近い林、森を切り拓いたところなど |
分布 | 伊豆諸島特産。房総半島や伊豆半島、三浦半島ほか全国の沿海地にも植栽され、野生状態で生えている |
参考文献
勝木俊雄(2016) 「オオシマザクラ」「ソメイヨシノ」in『改訂新版 日本の野生植物 3』(平凡社)pp.64-66。
大原隆明(2009)『サクラハンドブック』(文一総合出版)
米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名-学名インデックス(YList),http://ylist.info(2025年3月25日閲覧)