今宵もしきねでバエパッチョ自分で釣って、さばいて、飲む!

師匠連とサメの仁義なき戦い

早くも式根島10回目の釣行です。10月はスポーツの日絡みの3連休がありますが、私は別の趣味で中旬までは忙しいため、式根島行きは翌週に回して有給を2日プラスする贅沢シフトで参戦です。

オフシーズンの平日となった式根島は、先月までの喧騒が嘘のように静かな佇まい。一方、天気は滞在中、荒れ気味で、強い風と桟橋にまで上がるうねりに悩まされました。

1日目:足つき桟橋の大きな虹

どよ~ん

時おりザッと雨が降る天気なので、いつでも戻れるようひだぶんから近い足つき桟橋(式根島港)で釣りをすることにしました。釣り客は私一人だけで貸し切り状態です。風やうねりの影響を受けにくい胴突き仕掛けで足元を狙いますが、当たりは多いものの、ミニサイズや外道が多く、パッとしません。

今日は早仕舞いしようかなと釣り道具を片付け始めると、雲が切れて、太陽がのぞき、白い灯台を中心に、見事な大きな虹が出現しました。

絶景独占

2日目:釣り日和

翌日は晴天に恵まれ、早朝から張り切って野伏港です。昨日までのうねりもおさまり、島民釣り師で賑わっています。今日は土曜日ですから、数時間もすればたくさんの観光客が大型客船から下船します。その中に私にフカセ釣りを教えた師匠連もおり、午後の桟橋はさらに賑わいそうです。

私は今のうちにと、足元とカゴ釣りの欲張りフォーメーションで意気込み、さっそく本命のイシガキダイをGETしました。

君を見ると元気がでるよ

カゴ釣りでは、ツムブリ、ムロアジ、そして南国気分全開のグルクン(たかさご)とバラエティ豊かなゲストが次々現れます。

ひだぶんの先代女将の93才「ばあ」が、当代女将に連れられて桟橋の様子を見に来たので、グルクンを見せると、「これはいい魚。唐揚げにすると美味しいの」と教えてくれました。

[釣果]
1日目:ワカウツボ、アカハタ、イスズミ、ソウシハギ、アカマツカサ、スズメダイ、イシガキフグ、ベラ
2日目:ツムブリ、アオムロ、グルクン(たかさご)、アカエソ、アカマツカサ
3日目:ショゴ(カンパチ)、ソウシハギ、アカハタ、イスズミ

仁義なき戦い

さて、遅れて参戦したフカセ釣り猛者の師匠連ですが、さっそく一角を陣取り、3人がかりで秘伝のタレ(コマセ)を撒き始めました。すると、どこからともなく3m以上もある大きなサメが3匹やってきて、30m先をゆうゆうと旋回しはじめました。私は、この時、式根島で初めてサメを見ましたが、想像より倍以上の大きさに驚きました。サメの種類も見るからに凶悪系です。

お呼びでない

そういえば、去年、師匠連が「釣った魚を入れて海に沈めておいたスカリをサメに食い破られて20枚も獲物を横取りされてしまった。」と嘆いていたのを思い出しました。その話をすると「今年は金属製のスカリを買ったから大丈夫!」と自信満々です。そして、「おいでなすったな」と、顔色ひとつ変えず、淡々とコマセを打ち、休まずに竿を振っています。“攻めの釣り”をモットーとする師匠達の勇姿に、私まで胸が熱くなりました。

問題はここからです。見事、魚が掛かり、リールを巻いて取り込もうとすると、サメが猛スピードで追いかけてきて、一口でその魚を飲み込んでしまうのです。そのたびに、ナイフのように鋭いサメの歯が、ラインを針ごと切ってしまいます。それでも、師匠連は黙々と新しい針を結び直して、同じ動作を繰り返します。

私がふだん足元釣りやカゴ釣りをしていてもサメは来ません。よほど、師匠連に懐いたのでしょう。いや、フカセ師が撒くコマセの臭いを覚えてしまったのでしょう。

私は「釣って捌いて食べる(ワインを飲む)」ために釣りをしていますので、正直、(釣っても釣っても、獲物を横取りされるなら、コマセを撒かない釣りをすればいいのでは)と思うわけですが、師匠達はコマセワークで漁場を生み出すフカセ釣りという合理的な釣りシステムそのものに惚れきってますので、めげません。

むしろ、かかった魚を猛スピードで巻取り、サメに追いつかれる寸前で、すかさず竿を上に振って抜き上げる方法を編み出して、「勝った!」とはしゃいでいます。…悲しいことに釣った魚が大物であるほど「負けて」追いつかれるのですが、それはそれで「魚がサメになった!」とはしゃいでいます。

その様子を見て、私が呆れていると、「サメの唇にかかって、2号竿で10分以上、ラインが切れず引っ張り合ったことがある!サメの泳がせ釣りよ。」と自慢する始末。重症です。

私からすれば、もはやフカセ釣りではなく、サメサメパックンチョゲームであり、何が楽しいのか理解できません。自分は、まだまだ正気だなと思いました。

アカハタ
イスズミ
ソウシハギ
ショゴ(カンパチ)
アカハタ
グルクン(たかさご)
アカマツカサ
アオムロ&ツムブリ
アカエソ
ツムブリ
イシガキダイ
スズメダイ
ベラ
アカハタ
ワカウツボ

↑黄色は食べやすく美味しい魚(当社比)

調理のポイント

レシピ

ムロアジのパン粉焼き

  1. ムロアジはさばいて骨を取り、柵にして、塩こしょうして、出てきた水気を軽くキッチンペーパーでとっておく。パプリカやトマトはスライスする。ニンニクはみじん切りにする。
  2. 深めの皿にオリーブオイルをひいて、1を全て入れ、塩、こしょうをかけ、ドライハーブを混ぜたパン粉をたっぷりのせる。上から、さらにオリーブオイルをたらしておく。
  3. 4をトースターやオーブンで10分程度焼いて出来上がり。

    ■ポイント
    塩・こしょうとオイルで味をつけた魚と適当な野菜を並べて、ハーブパン粉でオーブン焼き(トースターでok)するだけ!
バエパッチョ提唱者

こんにちは。私は、「自分で釣った魚で料理を作って、美味しいお酒を飲むため」に式根島に通っています。この「今宵もしきねでバエパッチョ」が式根で釣りをやってみるきっかけになったり、自炊民の多少の参考になれば幸いです。